2026.6.17
介護DXの営業で、最初に見るもの。
機器の前に、課題を見る。導入の前に、進む道筋を探す。
この記事はこんな方向けです
- 介護施設の経営層
- 施設長
- 法人本部のDX推進担当者
- 自治体・支援機関の担当者
- 介護DX関連のパートナー企業

介護DXは、もう「そのうち考えること」ではない。
介護施設にとって、生産性向上は、もはや先送りできないテーマになっています。人材不足、業務負荷、夜間対応、記録業務、情報共有。現場の課題は複合的で、テクノロジーの活用は「できればやりたい」ではなく、「どう実装するか」を考える段階に入っています。
一方で、介護DXは、機器を選べば前に進むものでもありません。経営層が必要性を感じていても、現場で使われなければ意味がない。現場に課題があっても、既存設備や通信環境の整理ができていなければ導入は止まる。補助金やスケジュールの制約によって、判断の順番が変わることもあります。
だからこそ、BCCが介護DXの初回接点で見ているのは、「どの製品を入れるか」より先に、「どこからなら前に進めるか」です。

第1章
初回ヒアリングで見るべきものは、課題そのものではなく、課題のつながり。
介護DXの相談は、最初から「DXを導入したい」という言葉で始まるとは限りません。むしろ実際には、「連絡手段を見直したい」「見守りの負担を減らしたい」「記録業務を少しでも軽くしたい」といった、現場の困りごとから始まることが多いはずです。
ここで重要なのは、出てきた要望をそのまま製品選定に結びつけないことです。たとえば「インカムを入れたい」という相談の背景には、既存機器の老朽化、ナースコールとの連携、夜間対応の負荷、職員の動線、通信環境など、複数の論点が重なっているかもしれません。
BCCとして初回ヒアリングで確認したいのは、たとえば次のような点です。
- 経営層は、何を生産性向上のテーマとして認識しているか
- 現場では、どの業務が具体的に負担になっているか
- 本部と現場で、課題認識にズレはあるか
- 今使っている機器・設備・通信環境はどうなっているか
- 導入したい機器は、既存環境と接続できるか
- 補助金・予算・導入時期に制約はあるか
- 現場が「導入後の運用」をイメージできているか
初回ヒアリングは、進みやすい施設かどうかを判定するための場ではありません。どこからなら前に進めるのか、その入口を見つけるための場です。

青木 佑太
BCC株式会社 ヘルスケアカンパニー
第2ヘルスケア支援グループ マネージャー
介護施設におけるDX導入支援に携わり、施設ごとの課題整理から、ソリューション提案、デモ調整、導入前後の支援までを担当。機器導入だけでなく、現場で使われる状態まで見据えた伴走を重視している。
“何を入れるか”より先に、“なぜ必要か”“どうすれば使われるか”を整理することが、介護DXの出発点だと考えています。
第2章
経営と現場の“壁”ではなく、接続点を見る。
介護DXでは、経営層と現場のあいだに温度差が生まれることがあります。経営層は、生産性向上や人材不足への対応として導入を急ぎたい。一方で現場は、「今でも忙しいのに、新しいことを増やされたくない」と感じることがある。
ただ、この構図を単純に「経営層 vs 現場」として捉えると、介護DXの進め方を誤ります。企業によって事情は異なり、経営層と現場の関係性も、意思決定の流れもさまざまだからです。
BCCとして見るべきなのは、壁そのものではなく、接続点です。経営が求める生産性向上と、現場が求める負担軽減は、本来は対立するものではありません。見守り、連絡手段、記録、情報共有。どのテーマであっても、目指すのは「人を減らすこと」ではなく、「人が本来向き合うべき仕事に時間を戻すこと」のはずです。
初回接点で必要なのは、経営が実現したいことと、現場が日々困っていることを、同じ地図の上に置き直すことです。

第3章
デモで見るべきものは、“便利そうか”ではない。
介護DXの提案において、デモは大きな転換点になります。資料で説明されるだけでは、現場は自分たちの業務に置き換えて考えにくい。実際に触る、見る、試すことで、導入後のイメージが具体化します。
ただし、デモは「便利そうかどうか」を眺める場ではありません。BCCとしては、少なくとも次の5点を確認する場として位置づけたいところです。
デモで確認したい5つの観点
1. 現場の業務フローに入るか
既存の動きに無理なく入るか。職員の動線、夜間対応、記録、申し送りなどに自然に組み込めるかを確認する。
2. 操作負荷は許容できるか
説明を受けた一部の担当者だけでなく、現場スタッフにも扱えるか。忙しい時間帯でも使えるか。
3. 既存環境と接続できるか
ナースコール、Wi-Fi、アクセスポイント、スマートフォン、既存システムなどとの整合性を見る。ここを外すと、導入後に止まりやすい。
4. 現場に説明できる言葉があるか
「なぜ入れるのか」「何が変わるのか」「何が楽になるのか」を、現場に納得感のある言葉で伝えられるか。
5. 導入後の運用が想像できるか
誰が管理するのか、トラブル時はどうするのか、設定変更や職員教育をどう回すのか。デモ段階で、運用の輪郭まで見ておく必要がある。
デモは、導入可否を判断する場であると同時に、実装の課題を洗い出す場でもあります。

第4章
進みやすさを測るより、進む道筋を見つける。
営業の現場では、「この施設は進みそうだ」「ここは時間がかかりそうだ」と感じる瞬間があります。ただ、それを属人的な勘のままにしてしまうと、支援の再現性は上がりません。
BCCとして大切にしたいのは、進みやすさを感覚で測ることではなく、制約のなかで進む道筋を見つけることです。
現場が慎重なら、小さく試せるテーマから始める。通信環境が不安なら、先に現地調査を入れる。既存設備との関係が複雑なら、接続可否を早めに整理する。本部と現場の認識に差があるなら、導入目的を言葉にする。補助金の締切があるなら、スケジュールから逆算する。
どの施設にも事情があります。だからこそ、「この施設は難しい」で終わるのではなく、「この施設なら、どこから始めるか」を見つけることを、支援の価値として日々、施設へご訪問させていただいています。
第5章
BCCの役割は、面倒なことをひとつの窓口で受けること。
介護DXが進みにくい理由の一つは、関係する論点が多いことにあります。
機器、通信環境、既存設備、補助金、職員教育、業務改善、導入後の定着。施設側がこれらを個別に調べ、各社に問い合わせ、調整するのは簡単ではありません。
BCCの役割は、製品を紹介することだけではありません。施設の課題を聞き、必要な専門会社につなぎ、導入前後の論点を整理し、現場で使われるところまで道筋をつくることにあります。
「何を入れるか」ではなく、
「何のために入れるか」
「どう使われる状態にするか」
「どの順番で進めるか」
そこを一緒に考えることに、BCCの介護DX支援の価値があります。

IT機器の日々の運用や保守もBCCにお任せください
まとめ
最初に見るものは、製品ではなく道筋。
介護DXの営業で、最初に見るもの。
それは、導入したい製品名だけではありません。
施設の課題、経営層の意図、現場の不安、既存環境、デモで確認すべき点、導入後の運用。そうした要素をつなぎ合わせながら、「どこからなら進めるか」という道筋を見つけることが、介護DXの出発点です。
BCCが目指すのは、機器を紹介することではなく、施設ごとの状況に応じて、課題整理から導入・定着までを一本の流れとして支えることです。
介護DXは、入れて終わりではありません。現場で使われ、負担が減り、利用者と向き合う時間が生まれて、はじめて意味を持ちます。
だからこそ、最初に必要なのは、何を売るかを決めることではなく、どこから変われるかを見つけること。
BCCの介護DX支援は、そこから始まります。